【経営の罠】お客様の声を鵜呑みにしてはいけない理由と失敗事例

商売は、需要と供給で成り立つ。

『商売の基本は、お客様の悩みごとを解決すること。
だから、お客様の声に耳を傾けることが大切だ。』


と、どんなマーケティングの本にも、書いてある。
多くの方が、一度は耳にしたことがあるだろう。

しかし、文字通り鵜呑みにしてしまうと、とんでもない失敗につながることがよくある。
こちらの記事では、事業相談で寄せられたよくある失敗談も含めてお話します。

もくじ

なぜ、お客様の声を鵜呑みにすると失敗するのか

お客様からのありがたい言葉が、事業のブレる原因になり得る

ふとした時に、お客様から

「これ、絶対売れるよ」
「これ、とってもいいですね」

そんな言葉をいただいたら、ほんのり嬉しくなるのが人間というものだ。

しかし、これが非常に巧妙な罠であることに気が付かなければ、ならない。

実は、私自身も含め、MY DESIGNの事業相談でもあるある話。

「お客様がいい!」と言われたことを素直に採用して、商品・サービスを売った結果。

まさかの、全然売れなかったり
一時的に売れても、本来の進むべき事業の道筋から外れてしまうことがよくある。

経営者のやさしさが、事業の進化を妨げる

素直で純粋な経営者ほど、ご経験が多いもので
本当は、今の自分には必要のないものであるにも関わらず

お客様がいいと言っているから、自分も試したくなったり、
日常にもっと積極的に取り入れだしたりしだす。

これだけを聞いたら、「なんと善良な経営者だ」と思う方もいるかもしれない。
商売をするなら、自分の商品やサービスに対して、
自分自身が自信と誇りを持っていること、愛していることが重要だからだ。

それなのに、なぜ、採用してはいけないのか?

お客様のニーズは、あなたにとっては過去の産物

お客様が必要としていること

経営者のあなたに必要なこと
は、異なる。

今の、お客様に必要なことは、大概、経営者のあなた自身にとっては、
もう過去の産物でしかなく今と未来には必要のないものがほとんどだ。

そう、あなたの中ではすでに完了していたり、もう関係のないこと。

むしろ、もう終わったことなのだから、その情報に触れるよりも、
前進するために採用すべきことや取り入れるべきことが山ほどある。

しかし、優しい心が発動すると、
どういうわけか、
お客様と一緒の選択をしようとしてしまう。


ここで、注意したいのは、お客様も善意をもっているということだ。
しかし、その善意とは時として、前に進む者にとっては有害なこともある。

リピーターが持つ「変わらないでほしい」という心理

とくに、リピーターさんや古くからの友人など。
関係性が深くなるほど、気をつけてほしい。

経営者であるあなたは、常に事業とご自身の進化・成長を目指して邁進しているはずです。

しかし、お客様は、どうだろうか?
ともに、前進していく長いお付き合いの方もいれば、あなたには変わらないでほしいという心理を持っている人もいる。

比率としては、後者の方が断然、多くなる。
変わらないでほしいとお客様が感じるのは、至極、自然なことなのだ。

あなたに興味を寄せてくれる人ほど、
"今のあなた"に興味があるのであって、あなたが変化してしまうことを好まない。

コンフォートゾーンやホメオスタシスと言った本能がその防衛反応を起こすのだから、
人間の機能として正常でナチュラルな反応。悪意もなければ、誰も悪くない。

悪くないどころか、
だから、よいお客様とも言える。
事業の安定を維持するには、必要不可欠な存在なのだ。

だからと言って、
お客様の人生と、あなたの人生。
進むべき道もスピードが違うのも確かな事実。

お客様は、あなたのことを応援してくれているかもしれない。
だが、あなたの事業の全体像を最も把握しているのは、経営者であるあなたご自身なのだ。

お客様は、あなたの事業のいち側面、部分しか知らない。
事業の責任を背負っていない"いちお客様の思いつきの言葉"であることを理解している必要がある。

あくまでも、事業の手綱を握り舵を切るのは、言わずもがな、あなたなのだから。

ミラーニューロンの作用で思考が横並びになる危険性

大切な大切なお客様であるほど、
無意識に、親身になりすぎることはないだろうか?

人間にはミラーニューロンと呼ばれる「鏡の神経細胞」と呼ばれるものがある。
一緒にいる人の影響を受けるのは、このミラーニューロンが反応していて、無意識下で他人の感情を模倣学習する。

言い換えれば、「在り方」が伝染するとも言える。
共感力が高い人は、このミラーニューロンが異常に発達しているのだ。

それゆえ、相手の心理がわかるから売れるし、人気も出るわけですが、
お客様に親身になりすぎるとこのミラーニューロンが働いて同じ思考になっていく。

そして、気がついたら、同じ選択をしていたり、勧められたことが良いような気がしてくる。
同じ選択や行動をすることで、これまで築き上げてきたあなたの「在り方」が崩壊し、
あなたの「在り方」がお客様にどんどん寄ってしまう。

ここで、今一度、冷静に客観的に考えてみよう。
果たして、お客様と同じ思考になることは、あなたの事業にとってプラスになるのか?

スピード感を持って前進するあなたが、
お客様と同じ思考を手に入れることは必要なことなのだろうか?

あなたに憧れや共感を抱いているお客様にとって、あなたが先ゆく者ではなく、横並びの人物になった時、お客様に必要とされるのか?お客様が、あなたにお金を払いたいと思うのか?

いずれも、答えはNOでしょう。

お客様の声は、あくまでもひとつの現象だ。客観的データでしかない。
そして、お客様の反応は、いまのお客様の頭の中にある限界の情報から生まれた対症療法的な考え方だ。

真の需要は、もっと本質的なところにある。
本当に必要とされているものは、もう一歩先をいく考え方や解決策なのだから。

よくある失敗。シーン別で気をつけたい事例

無料相談や体験、モニターの声

無料相談や体験モニターを行うと、お客様から嬉しいご感想をいただくことが多い。

「こうしたらいいよ!」
「こんな人におすすめ!」

優しいお客様は、たくさん応援してくれてプラスの言葉を与えてくれる。ありがたい存在だ。

ここで、気をつけたいのは、
本当に無料相談や体験モニターに参加したお客様は、あなたの事業にとって『理想のお客様像』なのか?

もし、高額のサービスを提供しようというのであれば、とくに注意深くなる必要がある。

あなたのサービスの最も高額の商品・サービスを選んでくれる人
無料やモニターを受けてくれた人は、果たして、同じ思考をしているのか?

このことを考えずに、無料相談やモニターの声に寄せていった結果、
最初のコンセプト設計では、しっかりとしていた事業だったのに
だんだんと理想のお客様が離れていく。

経営者である等の本人は、渦中にいるためなかなか気がつくことができず、
原因がわからないままお客様の質が下がり続ける。

お心当たりは、ありませんか?

リピーターさんから、「これは売れるよ」と言われたもの

これは、私の以前の失敗談。
コロナ禍にありアロマスプレーが流行っていた。

アロマスクールやアロマの卸業をしている私も、アロマスプレーを販売するか検討していた。

そこで、私のサービスを愛してくれている大切なお客様に、実際にアロマスプレーを試してもらった。

「これ、すごくいいね!絶対に、売れるよ」

こんなに私のサービスを愛してくれているお客様の声だ。
彼女がそういうのなら、きっと他のお客様も喜んでくれるはず!

意気揚々と、在庫確保の発注をかけた。

しかし、いざ、販売をはじめてみると・・・
既存のお客様も、売れると言ってくれた彼女も買ってくれないではないか!

残ったのは、使用期限の迫る在庫たち。

彼女は、心から私の事業を応援してくれている存在だ。もちろん、私にとっても大切なお客様だ。

そして、応援してくれているからこそ、私の相談に『肯定』してくれた。
私と過ごしている時、彼女は気分がいい。気分が良ければなんでも、よく思える。

しかし、経営者として振り返ると
その言葉は、あくまでも『応援したい』心理であり、『買いたい』という購買意欲ではなかったのだ。

彼女が欲していたのは、私のアロマ講座や既存のアロマ商品。
もっと言うなら完成された世界観にお金を出してくれていた。
突然、登場した別ブランドのアロマスプレーが欲しいわけではなかったのだ。

お客様の声とどう向き合うべきか、その答え

お客様からいただく声は、大変貴重で本当にありがたいものです。

だからこそ、
その声の本質を理解して、お客様が潜在的に欲しているニーズを満たしていくことが重要です。

褒め言葉やアドバイスは、嬉しいかもしれません。
大切なお客様の言葉であればあるほど。

しかし、気分が良くなることと、事業が成長することは別だという事実。

そして、お客様があなたに求めていることは、単なる共感者ではなく、先駆者であること。

お客様を大切にする姿勢ややさしさはそのままに、
改めて、経営をする上では感情に流されないこと。

真の意味で、事業の進化・成長に必要なことな何なのか?
真実の目を養うこと。

これらを大切にすることが、長く愛される事業継続のコツではないでしょうか。

どうぞシェアしてください

この記事を書いた人

ご事業の使命を世界観として表現し、存在意義を社会に伝えていくことが、わたくしたちの使命です。
ブログでは、ブランド構築や経営に役立つ情報、クオンタムリープに関する記事を投稿しています。
好き:クラシック音楽、ネコ、アロマ

もくじ